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第6回福岡県竹林サミットin飯塚開催

 福岡県は国内有数の竹の分布が見られる地域でありながらも、荒廃竹林の拡大に伴う生物多様性の減少問題などが進行しています。このような地域の問題に対し、市民のボランティア活動による様々な取り組みが盛んに行われています。それぞれの団体の活動の情報交換や交流・協力が必要であると考え、平成19年11月に第1回の福岡県竹林サミットが開催されました。

今年度は2012年10月6・7日(土・日)、筑豊 飯塚市穂波公民館で、第6回福岡県竹林サミットin飯塚「里山保全と竹の利活用」をテーマ開催されました。

10月6日(土)は九州大学大学院研究員准教授 清野聡子先生に「福岡県の森林の現状と課題」をテーマに講演。その後、福岡県内で活動している団体や学生さんの事例発表が行われました。

「八木山峠の登り口の所にコブみたいな小さな山があります。地元の人は『お握り山』と呼んでいるようです。10年ほど前はその山の裾野の所に竹林がそそと生えていましたが、それが年々広がり、今では山頂にまでおよんでいます。このままでいけば全山、竹林で覆い尽くされてしまう日もそう遠くはないでしょう。これではいけないと、その竹林の一角を知人が手入れをするのを手伝ったことがありますが、数年たつとすぐ元に戻ってしまい、焼け石に水のような気がいたしました。このような竹林の広がりはいたる所で見られます。その速度は温暖化のせいでしょうか年々早くなっていくような気がします。これらの現象をみんなで考えようと、立ちあがったのが当サミットだと思います。2007年の第1回から始り、今年で6回です。これまでを振返り、これからも大きなうねりになるきっかけになればと願っています。」第6回福岡県竹林サミットin飯塚実行委員会 阪本栄治委員長のあいさつの言葉です。

※竹は根が浅く他の木のように杭の役にならないため地滑りが起こりやすい。また、竹は他の木が育つのに10年かかると言われるが数カ月で成長する。竹に覆われた山や崖は災害が起こりやすくなっている。このことを私たちは認識しないといけない。竹を駆除するには7月下旬から8月上旬に竹を切り、9月に再度切ると2・3年で竹をなくすことができると言われている。3月ごろの伐採では3年から5年かかると言われている。
 
 
   
   
 
清野聡子九州大学大学院研究員准教授の基調講演 「福岡県の森林の現状と課題]

)里山の管理では、九大の伊都キャンバスは里山を削って建てられ、現実に自然を管理する事の大変さを感じている。現状では地元のボランティアの方々の善意に甘えている。里山を管理する上で若い人の力は必要だが、森を管理するスキルが伴ってない。地元の人に指導していただきながら若い人が学べる場が必要。九大が里山に引っ越して地域とのつながりができた。以前は実験器具はホームセンターで買っていたが、今は森の中にある。知恵を働かせながら森の中で学習できる。

2)流域の管理では、干潟の生態系の保全では川は森の養分を干潟に届けている。海が豊かになることでマグロ・ブリ・アジなどの回遊魚が産卵のために対馬海峡にやってくる。国の国境を越えて川からの養分が海峡によってたまりすぎることなく、海峡によってかくはんされ、豊かな海になる。森や川が頑張らないと回遊魚がいなくなる。

3)生物多様性では、福岡県では自然公園や国定公園など、保護区が多くみられるが、持続不可能な森林の使い方をしている所もある。里山が地主不在の過疎化が進むことで、人の目も触れず荒れていく。現在、限界集落となった棚田を持続可能な利用方法として、椿の栽培を行っている所がある。栽培した椿を化粧品会社に買い取ってもらうなど経済効果につながり、土壌崩壊も防げる。

4)防災と森林では、2012年7月の九州北部豪雨災害では河畔林が多く流失、現地はもとより、流木で遠く四国や山口まで広域に災害が広がった。自然木だけではなく間伐材として切って寝かせていた木が大量に流れ、流木が橋を壊し川をせき止めていた。間伐材の管理は対策が必要である。観測史上初の出来事と言われているが、災害している所としていないところがある。災害に強い家づくりや、山造りがあると言われ、過去から学ぶことが大切。手入れをされていない森林は災害には弱い。森がどうあるべきか、今回の災害で学ぶことが大きい。地元だけが抱え込むのではなく、地元に人に知恵教えていただきながら、森を守るためにできることを多くの人に伝えることが大切。

会場から
・山の手入れはとても大切で、30年~40年前は管理していた。山の地形・広さ・土壌の状態、木の方向、育ち方、根の様子など。管理することで災害を防げたと思う。山の手入れでは間伐や除伐など一つの工程の中で、仕事をこなしてきた。現在は手入れができていないところが多い。若い人たちの指導が大切。災害から地域を守るためには山の手入れがは欠かせない。私の思っていることを言っていただいた。

・森林の再生に向けてボランティア活動の人々も多いが、森林はそこに住んで山を守ることが大切。森林環境税で若い人の人材育成と、そこに住み山を守る人々の育成、そのような政策をやることが要と思う。
 
 
嘉穂総合高校嘉麻市立大隈城山校の学生さんによる発表 
 NPO法人遠賀川流域住民の会の取り組み「源流の森再生応援団」に参加。竹林整備事業として平成22年度から、8月、9月に参加。竹林から竹の間伐を取り出し、竹炭を作る準備を行っている。また、竹炭が出来上がると近くを流れる川の浄化作業として竹炭を設置している。
 
 筑豊地区女性林業研究グループ
 平成19年に嘉飯山・直鞍・田川地区の林業・木材・花木に携わる女性のグル―プとして設立。枝打、除伐、先進地視察を行ってきた。昨年度、福岡県森林環境の提案公募事業「たんとの森林活用プロジェクト」として、間伐材を利用しての「3×4しょうぎゲームの盤とコマづくり」を各地で開催。子ども達に森林の大切さを分かってもらうための森林学習会と併せて行ってきました。
また、実際に山に出かけ、山の説明や実際に間伐や除伐作業を実体験する取り組みを行いました。木を植えること、間伐することの意味、多くの人々に木に触れ合うことを実践しています。
 
 龍王・山・里・川
山・里の保全のための竹林整備を行っている。竹をチップにして、また飼料と混ぜて家畜の飼料にしている。竹炭の利用で田畑などの活性剤として利用。竹のチップを燃料として利用している。竹林を雑木林化に向けて、地元中学生と、環境学習を開催。どんぐりの苗木作りなど行っている。